
奥行き274cm、荘厳とも言うべき佇まいのコンサートグランドの頂点を極めるモデルです。
世界を代表するピアニスト、そして最高水準の音楽的表現を追求する方々から圧倒的に支持されています。
厚さ約8.3cmの長いリム板を曲げて一体成形する工法は、ピアノ製造の上で最も重要な技術革新のひとつとされます。このリムが、スタインウェイのグランドピアノの一台一台に美しさ、安定感、確かな品質を与えています。
スタインウェイD-274は、17層もの堅木メープルを重ね、アウターリムとインナーリムを同時に一度でプレス加工する方法を採用。この製法によって、ピアノが構造的に一体化され、世代から世代へと受け継がれるスタインウェイの耐久性を実現しています。
このユニークなリム工法は、スタインウェイ&サンズが1878年に開発・特許取得して以来、すべてのスタインウェイグランドピアノに採用されている重要なものです。
響板は、スタインウェイグランドピアノ、またはアップライトピアノの心臓部にあたるものです。そのため、設計面でも木材の選定の面でも細心の注意が必要となります。最高品質基準に見合うよう、木目が揃い、年輪が最低基準数に達している最高級シトカスプルースのみを使用しています。
スタインウェイの振動膜の原理にのっとった響板の製造は、ppからffまでのダイナミックレンジの広さと音の伸びを最大限に可能にする1936年に取得した特許に基づいています。響板を中心から端に向かって徐々に薄くすることで最大限の柔軟性を持たせ、比類なき豊かな音色、響き、伸びのある音を実現しています。
バイオリンの響板と同じく、音域全体を通して自由で均一なレスポンスを与えるため、スタインウェイD-274の響板は、中央が9mm、リムとボディーに近い部分は6mmの厚さで、両端が薄いクラウン形状となっています。この設計により、完全に自由な動きを可能にすると同時に、より多くの空気を振動させることができ、豊かで余韻の長い音を生み出しています。
響板には、木目の細かい柾目のシトカスプルース(圧力や振動に対する類稀な安定性と対応力を持つ)のみを使用しています。
素材が上質であればあるほど、音が良くなります。スタインウェイ&サンズの響板ブリッジは、横方向の木目を持つ木材を垂直に重ね合わせ、メープル無垢材でキャップを施しています。正確にそれぞれの弦に対応するよう、各ブリッジには手作業で切り目を入れています。この設計によって、弦から響板への音の伝達が最大限になり、伸びやかに共鳴する音が生まれます。これが、比類なきスタインウェイサウンドなのです。1963年、スタインウェイはヘキサグリップ ピンブロックを考案。これにより、調律の精度を高め、調律した状態を長く保持することが可能となりました。
特許を取得したヘキサグリップ設計は、柾目の堅木メープルとブビンガを6枚重ねで貼り合わせています。木目が45度と90度の角度で交互にずらして貼られており、チューニングピンの周囲に均一の力がかかることで究極のピンの保持を実現します。独自の設計によってチューニングピンがトルクの下でなめらかに動き、より均一な保持力が確保され、調律した状態が長持ちします。
高音域の駒は、縦方向にラミネートされた堅木メープルに堅木メープル無垢材のキャップを採用。高さが均一になるよう削られたあとに黒鉛でコーティングし、手作業で穴開け、駒欠きをし、各弦の角度を正確に調整することで、駒割れを防ぐ設計となっています。低音域の駒は、高音域と繋がっており、メープル材にダボ接合されています。
ピアノの内部の弦には、常時最大20トンもの張力がかかっています。この極めて大きな負荷を支え、ピアノの寿命を通して強度と安定性を保つのが鋳鉄プレートの役割です。
スタインウェイ&サンズは、独自の高品質な鋳型を使用し、弦の張力を支えて振動を軽減し、音の響きを際立たせています。
この部品はスタインウェイピアノの構造に欠かせないため、スタインウェイ&サンズは独自の鋳造所を所有し、仕様に忠実な鋳鉄プレートを生産しています。
プレートは頑強な、ねずみ鋳鉄製。CNC加工および表面処理された後、ブロンズ色に塗装されます。